3月13日(土)午後、家内と茅野市民館に「村治佳織ギター・リサイタル/ゲスト:古川展生(チェロ)」を聴きに行きました。
茅野市民館は2005年完成で、中央線茅野駅とはスロープでつながっており、音楽・演劇などに利用できるマルチホール、室内楽向きのコンサートホール、美術館、図書室があります。ガラスが多用された洒落た建物で、2007年に日本建築学会賞を受賞しています。
第1部は村治佳織のギターソロ、第2部は古川展生のチェロとの二重奏です。演奏曲目は下記の通りでした。
<第1部 ギターソロ>
●ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
●坂本龍一(佐藤弘和編):エナジー・フロー
●武満徹編曲:≪ギターのための12の歌≫より 失われた恋、サマータイム
●谷川公子(渡辺香津美編):一億の祈り ~映画『火垂るの墓』実写版
●レニャーニ:36のカプリス Op.20 より
第13番 ニ短調 アレグロ・モデラート、
第5番 二長調 アレグロ・モルト、
第22番 ハ短調 アダージョ、
第7番 イ長調 プレスティシモ
●メルツ:ハンガリー幻想曲 Op.65-1
<第2部 チェロ&ギター>
●ボッケリーニ:チェロ・ソナタ イ長調
●フォーレ:夢のあとに Op.7-1
●チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51-6
●ファリャ:スペイン舞曲 第1番 ~歌劇『はかなき人生』
●ボグダノヴィッチ:4つの内なる小品
●ジナタリ:チェロとギターのためのソナタ
<アンコール> ・サンサーンス:白鳥 (チェロ&ギター)
私は村治佳織 のコンサートを聴くのはこれが5回目でしたが、毎回彼女は完璧な演奏テクニックを見せてくれます。クラシックギターはむずかしい楽器だと私は思いますが、プロでも一日のリサイタルをノーミスで弾くのは簡単ではないようです。しかし、彼女は毎回ほとんどノーミスで弾き、そのテクニックには余裕をもった完璧さを私は感じます。
今回は前から2列目の左側の席に座りましたので、村治さんの指の動きまでよく見ることができました。彼女の弦を押さえる左手の4本の指は独立した人格を持っているかのように柔らかく自在に動きます。女性の指は普通男性よりも長くはありませんが、彼女は指と指の間が大きく開きますから、弦を楽に押さえられます。これは彼女が3歳頃からギターの練習を始めたからできるという面はあるでしょう。しかし、彼女の指の動きは無駄がなく、理にかなっていますから、私のように60歳を過ぎて練習している者にとっても、それは参考になり、ヒントになります。
翌日から、それを参考にして左手の指と指とを大きく開くように心がけて弾いて、練習しました。前より少し左手の動きがスムーズになったような気がします。
(左側がギター席でその前にマイクが、後ろに黒いボックスのスピーカーが設置されている)
第2部のチェロとの二重奏では村治さんはマイクとPAスピーカーを使いました。このホールは300席の、そんなに大きくはないホールなので、第1部のギターソロでは彼女はスピーカーを使いません。彼女は生音で最後列まで音を届けられるだけの十分な音量を出します。
しかし、二重奏ではチェロの音量にクラシックギターは負けてしまいます。それでPAスピーカーを使用しています。
また、私が興味深く思ったのは第2部ではギターに電子チューナーを付けたまま弾いていたことです。私は今までプロギタリストがコンサートで電子チューナーを付けたまま弾くのをほとんど見たことがありません。
村治さんは、観客席から見えにくいうようにチューナーをギターのネックの裏側に付けて弾いていました。それは私が持っているのと同じKORG AW-1に見えました(右の写真)。ただし、彼女は第2部の間、調弦は自分の耳でやっており、実際にチューナーを使うことは一度もありませんでした。また、第1部のソロ演奏の間もこのチューナーを椅子の上の自分のお尻の後ろに置いていました。我々の席は前の方の左側だったので、これが見えました。しかし、第1部の間もこのチューナーは一度も使わず、自分の耳で調弦していました。
チューナーは一度も使うことがなかったのに、どうして彼女は演奏の間、自分のそばにチューナーを置いていたのか、私には不思議で、疑問に思いました。万一耳での調弦に自信がなくなった時にでも、使うためだったのでしょうか? できることなら、本人に聞いてみたいです。
MURAJI KAORI 村治佳織 タンゴアンスカイ
(第1曲目で弾いた「タンゴアンスカイ」です。村治さんはソロ・リサイタルの時にはこの曲をアンコールで弾くことが多いです。)
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