12月6日(日)に銀座の山野楽器本店で『19世紀にタレガが弾いていたギターの音色を聴いてみよう!』と題するギター試奏会があるということを知り、他にも寄りたいところがあったので、都心まで行きました。
山野楽器本店は歩行者天国で賑わう銀座の三越の向かい側にあります。 隣にはミキモトのクリスマス・ツリーが飾られ、大勢の通行人が携帯などで写真を撮っていました(下の写真)。
山野楽器本店では『F.タレガ没後100年記念スペシャルセール!』を行っていて、この日は、当時タレガが使用していたと言われるアントニオ・デ・トーレスによる1889年製作のギターと今井勇一氏製作のトーレス・レプリカのギターの2本をギタリスト益田正洋氏が弾き比べるというイベントを行っていました。
山野楽器には午後2時半頃着きましたが、3時から7階特設会場で新進若手ギタリストである益田正洋氏によるギター試奏会が始まりました。
まず、現代日本のギター製作家である今井勇一氏製作のトーレス・レプリカを使って、ヴィラ=ロボスの「前奏曲第一番」を弾きました。次に、今度は1889年トーレス製作ギターを使って、F.タレガの「前奏曲第一番」を弾きました。その後も今井勇一氏ギターとトーレス・ギターを使い分けて、全部で5曲(下記)を20分余にわたって益田氏は弾きました。
聴いていて、トーレス1889年製作ギターは深い味わいのある音がしました。音の遠達性はイマイチかもしれません。音量は今井勇一氏ギターの方が出ているような気がしました。トーレス・ギターはセゴビア・トーン(巨匠アンドレス・セゴビアの出した独自の美しい音色)に近い、味のある音色、響きだと思いました。私の好みは明らかにトーレス・ギターです。また、クラシックギターには寿命があり、普通は何十年かすると音が鳴らなくなると私は聞いていましたので、製作後120年も経つこのギターがいまだに綺麗な、味のある音を出すことに驚きました。名人の製作したギターは100年以上経ってもまだ弾き続けることができるということのようです。
なお、新進の注目されているギタリストだけあって、益田氏の演奏は技術も音の出し方も見事でした。機会があれば、益田氏のリサイタルをゆっくり聴いてみたいと思います。
<益田正洋氏による演奏曲目>
ヴィラ=ロボス 「前奏曲第一番」
F.タレガ 「前奏曲第一番」
〃 「アラビア風奇想曲」
〃 「アルハンブラの想い出」
ヴィラ=ロボス 「練習曲第一番」
また、この日は7階特設会場に展示されているクラシックギターは希望すれば試奏させてくれました。私はまず、現在の日本を代表するギター製作家の一人である桜井正毅氏製作のギターModel Special(定価588,000円)を頼んで、試奏させてもらいました。良く鳴り、綺麗な音が出て、十分楽しめるギターでした。弾いていたら、店の人が桜井正毅氏製作のパリコンモデル(定価735,000円)を、次に桜井・河野製Model Maestro(定価1,050,000円)を出してきて、弾かせてくれました。やはり上のモデルは更に音のバランスが良い感じがしました。これらのギターは今回の『スペシャルセール!』のために製作されたばかりだそうです。普通手製のクラシックギターは5年、10年と弾きこむに従って良く鳴るようになりますから、これらのギターは今後弾きこまれれば更に音量、味などが良くなってくるでしょう。桜井氏のギターを弾いてみて、日本の製作家でこれだけの良いギターがあるのであれば、わざわざ輸入物のギターを買う必要はないのでなないか、と私は思いました。
しかしながら、私は今は新しいギターを買う予定はありません。当面は私の愛用する中出阪蔵1976年製作のギターを、故障がない限りは弾いて行こうと思います。
<ご参照リンク>
*山野楽器HP→http://www.yamano-music.co.jp/
*益田正洋氏HP→http://www.masahiromasuda.com/japanese/index.html
*河野・桜井ギターHP→http://www.kohno-guitar.org/main_j.html
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