(1)聴いているお客さんが多い時。特にギターについて詳しい人達、
マニアックな人たちが多い場合は更にあがりやすい。
(2)演奏席と客席との間隔が狭い時、近い時。
(3)演奏席と客席が同じ高さにある時。つまり、ステージがない時。
(1)聴いているお客さんが多い時。特にギターについて詳しい人達、
マニアックな人たちが多い場合は更にあがりやすい。
(2)演奏席と客席との間隔が狭い時、近い時。
(3)演奏席と客席が同じ高さにある時。つまり、ステージがない時。
5月12日(火)7:30~8:00pmに放映されたNHK「クローズアップ現代」で『勝負強さは“脳”が決めて』というテーマが取り上げられました。私はこの番組を見ましたが、非常に興味深い内容でした。
番組によれば、本番の大舞台で実力を発揮できる選手と出来ない選手の違いはどこにあるのかを最新の脳科学から解明して、どうすれば本番に強くなれるのかの研究が進み、実践で効果を出しているでいる、とのことです。
下に本番組のNHKのホームページの画面を添付しました。しかし、この画面には肝心の結論が記載されていません。この番組を見て、私が理解したところをまとめると、大まか次のようになります。
・・・ 「これまでの、オリンピック選手など日本の競泳陣は水泳レースの最後の50メートル程で失速し、良い成績を収められないことが多かった。
そこで、脳科学者はレースの際のラストスパートの状況を作って実験し、脳の血流の量などを調べた。すると、ゴールが近いと意識した時から血流の量が落ちるなど、脳の働きが落ちていることが分かった。
そこで、脳科学者によるこの分析・研究について日本の競泳選手達に講義を受けさせ、また、選手はレースの時には、泳ぎ終わって、電光掲示板に何分何秒という自分の結果を見るまではゴールと思わないようにさせた。そうして実際にレースに参加させると、最後の50メートルでも選手は前のように失速することがなくなった。
この研究とレースでの実践は、前回の北京オリンピックでの日本競泳陣の好成績につながった。」 ・・・
私はこの番組を見て、この理論は楽器の演奏の時にも応用、活用ができるだろうと考えました。
つまり、人前でクラシックギターを演奏する際には、これが本番だとか、ここで決めなければいけないとか、今までの練習の成果を出すべき場所だ、などと考えないで、これは本番ではなく、本番はまだ先だ、これはリハーサル、あるいは練習で、自分はまだまだ上達するのだ、と考えるようにする。こう考え、意識することによって、緊張することが和らぎ、上がる度合いが減るのではないか、と言う、云わば仮説を私は立てました。
そして、自分自身が人体実験のつもりで、ギター・ソロを演奏して試してみることにしました。実際に演奏したのは、国分寺のライブハウス「クラスタ」で5月17日(日)の「フリーコンサート」と6月1日(月)の「木村デー」の2回です。それぞれ約15分の持ち時間で演奏しました。
「これは本番ではなく、本番はまだ先だ、これはリハーサル、あるいは練習だ」と自分自身に言い聞かせ、思いこませて、演奏しました。2回の“実験”の結果は、いつもに比べると、演奏中の緊張や上がりは少しは和らいだかなあ、と言う感じはしました。しかし、家で練習している時に比べると、左手も右手も指の動きはやはり鈍く、自分の場合はこれだけで上がりを克服できたとまではゆきません。今までは、家で練習している時の3割位しか人前で弾けなかったのが、4割位は弾けたかなあ、という感じです。しかし、4割/3割=1.33ですから、33%向上したことになります。一定の改善効果はあったということなのでしょう。
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NHK「クローズアップ現代」
ギター・ソロ演奏の時にあがりやすい状況、条件はどういうものかを考えると、私は次のような状況の時にあがりやすいと思います。
(1)聴いているお客さんが多い時。特にギターについて詳しい人達、マニアックな人たちが多い場合は更にあがりやすい。
(2)演奏席と客席との間隔が狭い時、近い時。
(3)演奏席と客席が同じ高さにある時。つまり、ステージがない時。
(1)については、聴いてくれる人があまりに少ない時はやはり張り合いがないですが、多い時は意識してしまいます。特に、自分でギターを弾いているような詳しい人が多い時には、誤魔化しがきかないという思いになりますから、一層のプレッシャーになります。
(2)演奏席に客席が近く、迫っている場合には、演奏者の指の動きまでのぞき込まれるような感じで、プレッシャーになります。
(3)ステージがあって、演奏席が客席よりも一段高くなっている方が、客席と隔離している感じがあって、演奏している時に自分の世界に入り込みやすいと思います。
ところで、国分寺のライブハウス「クラスタ」は(1)~(3)の条件を全て満たしています。つまり、「クラスタ」では相当のベテランの演奏者が弾いてもあがりやすいようです。もう1年以上前のことですが、「クラスタ」の“飛び入りフリーコンサート”に参加した時に、そこで初めてお会いしたKさんがJ.S.バッハの曲を素晴らしい技術、音色、表現力で演奏しました。私は感心しました。あとで聞いたところKさんは全日本アマチュアギターコンクールで優勝したことのある人でした。上手いわけでした。Kさんは演奏後私の前の席に座ったので話をしたところ、「今日ほど弾いていて緊張したことはなかった」と言っていました。優勝経験者ですら緊張するのですから、私などがあがって、ガチガチになるのは当然かもしれません。
ですから、私はクラスタできちんと弾けるようになれば、他のどこの場所に行って弾いても大丈夫だろうと考えています。
人前でギターを弾くようになってからは、“自分の家で練習している時に曲が弾けても、そんなものは弾けたことにならない、人前できちんと弾けて初めて弾けたと言えるのだ”ということに私は気が付きました。
アマチュアがギターを弾ける場所が家の比較的近い所にあるということは、私は環境に恵まれているということだと考えますので、せいぜい環境を活用して、いつかは自分の納得するギター演奏ができるようになりたいものです。
ところで、演奏する時にあがるということについては、アマチュア・ギター愛好家の次のブログでも語られています。
*Enriqueさん「クラシカル・ギターを止められない」2009年1月~2月の記事「あがりの克服について」
*「アメリカで開始したクラシックギター」2009年1月16日、19日の記事「コンサート・デビュー体験(14)、(15)」
ギター・ソロ演奏をする時にあがることを克服する、あるいは、あがっていても、演奏で自分の思うところを表現するにはどうしたらいいのでしょうか?
私はプロ・ギタリスト坪川真理子さんの個人レッスンを1年ちょっと前から、2~3ヶ月に1回程度の頻度で受けています。前に、レッスンの時に先生に「人前で弾く時にあがらないようするための練習方法などはないでしょうか?」とダメもとで聞いてみました。その時、先生は次のように云われました。
「場慣れするということもあるでしょう。それと、練習していて不安な部分は本番の演奏でもミスしやすいですね。」
云われる通りだと思います。場慣れするためには、場数を踏み、人前で数多く弾くこと。不安な部分をなくすためには、繰り返し練習し、十分弾き込むということ。この二つしかないと思います。
そうしてこの2年間、自分としてはそれを実践してきたつもりなのですが、思うようにはいきません。
しかし、しばらく前に「クラスタ」の常連で、最近プロに転向したSさんから声を掛けられ、「最近上手になりましたね」と言われました。私は「人前に出て弾くと、いまだに指が震えるんですよ」と言うと、Sさんは「(私の弾き始めの)最初の頃はこんなもんじゃなくて、もっとガチガチでしたよ」と言われました。私の最初の頃の演奏がひど過ぎたということもあるでしょう。自分ではいまだに思うように弾けないという気持ちですが、それでも名人レベルのSさんからそう言っていただくと、リップサービスも含まれているとは言え、自分にとっては励みになります。
2年前に「クラスタ」で弾き始めた頃、さらさらと、緊張している風にも見えずギターを弾いている人達を見ると、この人達は心臓に毛が生えているのではないか、と思いました。しかし、そういうベテランの人や上手な、レベルの高い人達と話をしていると、最近は、そうではないことが分かってきました。上手な人達、緊張しているようには見えず、しっかり演奏をしている人達も、実はある程度緊張しているのだと。こういうレベルの高い人達は緊張して力が50%しか発揮できなかったとしても、それなりの演奏ができるだけの余裕、実力を持っているのでしょう。レベルの高い人達は、多分自宅で練習している時には、人前で弾いている時の2倍~3倍は上手に弾いているのだろうと思います。
「禁じられた遊び」で有名な、ギターの巨匠ナルシソ・イエペスですらステージの前には緊張して、ビールを飲んでから演奏した、という話を聞いたことがあります(本当かどうかは分かりません)。
(このテーマは続きます。)
私は2年前の2月に約40年振りに人前でギター・ソロを弾きました。私は高校2年の時から自己流でクラシック・ギターを練習し始め、大学に入って2年間ギター部に所属していました。ギター部にいた時に学園祭などでギター・ソロを弾きましたが、それ以来だったのです。
大学卒業後も私は独身の間ずっと自己流でクラシック・ギターを弾いていましたが、30歳を過ぎて結婚し、子供ができた頃からギターを弾かなくなりました。そして、約25年間、全く弾いていませんでした。60歳近くなって、退職が間近になってからギター練習を再開し、定年退職も直前の一昨年2月に思い切って国分寺のライブハウス「クラスタ」に行って、ギター・ソロを弾いてみたのです。
そうして、人前に出てギターを弾き始めたところ、弦を押さえる左手は震え、右手は硬直し、まともに弦をはじけず、全く音楽になりませんでした。私にとっては大きなショックでした。40年近く会社生活をやっている間にもこんなに緊張したことはありませんでした。こんな歳になって、うまく弾けても弾けなくても自分の収入が減る訳でもなんでもないのに、どうしてこんなにガチガチになってしまうのだろうかと思いました。その時は非常に悔しくて、これから練習して、必ずきちっと弾けるようになってやろうと思いました。
過去の記録を調べて、整理してみたところ、それ以来、今日までの2年ちょっとの間に、「クラスタ」で18回、松下ギタービルで3回、埼玉ギターコンクールで2回、私は人前でギター・ソロを弾いています。しかし、いまだに私は人前に出てソロを弾くと、家で練習している時の50%も弾けていません。せいぜい30%位でしょうか。
私は今さら、この歳になって、ギター演奏を人から褒めてもらおうかとか、評価してもらおうかとかは思いません。しかし、ギターを弾くことは自分の何かを表現することだと考えますから、演奏技術は拙劣であっても、自分の中のものを表したい、自分の思うところを表現したいと、そう思います。
それでは、あがりを克服する、あるいは、あがっていても、演奏で自分の思うところを表現するにはどうしたらいいのでしょうか?
(このテーマは続きます。)
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