12月に行われた国立音楽大学の学内コンサートの内、12月9日(火)の音楽研究所公演「ドイツ・バロックの宗教音楽~バッハ最初のカンタータに向かって」と12月11日(木)の「平成20年度 大学院リート・アンサンブル演奏会」を家内と聴きに行きました。
12月12日(金)の「音楽研究所公演 プッチーニの夕べ」も聴きたかったのですが、不覚にも風邪をひいて、久し振りに4日間も寝込む羽目になり、これは諦めました。
聴いた二つのコンサートの中では「ドイツ・バロックの宗教音楽~バッハ最初のカンタータに向かって」は特に興味深い内容で、楽しめました。
国立音大音楽研究所では今年度はバッハ演奏研究プロジェクトを発足させ、「ピアノとチェンバロで弾くバッハ」と「声楽作品研究」の二つのテーマを設けたとのことです。「ピアノとチェンバロで弾くバッハ」の発表コンサートは既に12月2日(火)に行われましたが、私は都合がつかず、こちらは聴きに行くことができませんでした。この日は「声楽作品研究」の発表コンサートでした。
コンサートでの合唱はバッハの時代に即した少人数の構成で、また、合奏はヴィオラ・ダ・ガンバ、バロック・ヴァイオリン、リュートなど当時の古楽器を使ったアンサンブルでした。
国立音大教授の礒山雅氏の解説とお話により、最初から最後まで進行しました。あとでNETで調べたら、礒山教授はJ.S.バッハの研究では日本の第一人者だそうです。
バロック時代の古楽器の演奏は私は初めて見て、聴きました。中でもヴィオラ・ダ・ガンバは現代のヴィオラのサイズからコントラバスを一回り小さくした位のサイズまで4種類の大きさのものが並んで演奏されました。ヴァイオリンと一番違う所は、ヴィオラ・サイズの小さなものでも、チェロのように体の前で膝に挟んで弾くことです。 演奏中は撮影禁止でしたので写真は撮れませんでしたが、下の絵(Jean-Marc Nattier<1685年-1766年>作)をご参照ください。
解説によると、「ドイツ・バロックの宗教音楽」とは、16世紀の宗教改革によって成立した、ルター派プロテスタントの教会音楽を指すそうです。ルターは大の音楽愛好家で、音楽を「神の賜物」と規定し、オルガンや合唱による豊かで充実した音楽が礼拝で鳴り響くことを望んだそうです。
この日の演奏は、プレ・バッハ(バッハ以前)の作曲家、M.プレトーリウス(1571-1621)、H.シュッツ(1585-1672)などの歌曲から進み、最後はJ.S.バッハ(1685-1750)のカンタータ第150番《あなたを、主よ、私はこがれ求めます》BWV150で終わりました。
当時の古楽器でのアンサンブルと、当時に即した小編成での合唱はバロックの味わい、雰囲気が感じられ、礒山教授のトークも流石に上手で、私にとっては貴重な、楽しい音楽会でした。こんな編成の演奏を、実際にドイツの古い教会で聴くことができたら更に良いだろうな、と思いました。
これで国立音楽大学の学内コンサートは当面終わりです。次の学内コンサートは来年の3月になるので、ちょっと待ち遠しいです。
[いいですね] 右脳,左脳とも,程よく刺激されて楽しそうな音楽会ですね.
モダンな楽器はもちろん機能的に優れていて,一般的には表現の幅も広いですが,一方で作曲者の全く意図しない結果になってしまうこともある訳ですから,作曲された当時の時代考証を理解し,当時の音を理解することはとても重要ですね.
投稿情報: まさとい | 2008/12/19 04:21
おっしゃる通り、当時の楽器や編成で演奏することによって作曲者の意図に近づくことができるような気がしました。
私にとっては貴重な機会でした。
投稿情報: Poran | 2008/12/19 11:40