11月10日(水)~11日(木)は、飯田橋駅近くのトッパンホールで行われた「デイヴィッド・ラッセル ギターリサイタル」を家内と聴きに行くため、東京に帰りました。
私はデイヴィッド・ラッセル (David Russell;1953年生まれ)のCD「タレガ全集」(Francisco Tarrega - Integral de Guitarra)を持っていますが、これは私のお気に入りで、繰り返し何回も聴いています。ラッセルの透明度の高い、安定した美しい音色、精確なテクニック、上品な情感あふれる表現、これらはずば抜けていると私は思います。ラッセルが来日して、リサイタルをやる予定だと1年近く前から聞いていましたので、必ず聴きに行こうと思っていました。
前売り券の発売初日に電話して予約したため、前から4列目の真ん中の席を取ることができました。
<トッパンホール内部 2010年11月10日>
トッパンホール は凸版印刷が創業100年を記念して、2000年に開設した、比較的新しいホールです。最新の技術を用いて造られているようで、綺麗で、音響が良く、客席数408と、クラシックギターのリサイタルには大き過ぎないサイズです。
この日の演奏曲目は下記の通りでした。
<演奏曲目>
*F.ソル : 演奏会用断章Op 54
*フランソワ・クープラン : 森の妖精 (ロンドー) 第1組曲より 神秘的なバリケード 第6組曲より 手品 第6組曲より
*J.S.バッハ : 3つのシンフォエア シンフォエア第5番 BWV791 シンフォニア第6番 BWV792 シンフォニア第11番 BWV797
*A. ネベス : ショーロ / ヴァルサ / ピニェイラーダ
(休憩) *J.S.バッハ : ソナタ第2番 (フルートと通奏低音のための) BWV 1034
*フランシス・クレンジャンス : カプリス形式のアラベスク (タレガ讃歌) Op 99
*イサーク・アルベニス : キューバ / グラナダ / 入り江のざわめき
(アンコール) *A. バリオス : 最後のトレモロ * 〃 : パラグアイ舞曲 Danza Praguaya *E. グナラドス : スペイン舞曲第10番
<F.クープラン作曲「神秘のバリケード」、「手品」 ~デイヴィッド・ラッセル演奏>
私はラッセルの右手、左手の指の動き一つ一つを見逃さないよう見て、聴いていました。澄んだ、美しい、珠玉の音色、正確無比のテクニック、上品な香りが漂う演奏は私の期待にたがわないものでした。
舞台に近い、真正面の席からは指の動きがよく見えましたが、彼は弦をはじく右手の指の使い方に特徴があるように私には思えました。正面から見ていると、右手の親指が人差し指の下に隠れて、あまり見えませんでした。これは、アンドレス・セゴビア が右手の親指を横に突き出して弾いているのとは、対極にあります。また右手指の第二関節から下は、ギターに対して垂直になっているか、あるいは、もう少し丸い形になって、弾いているように見えました。手と指の動きからは、主にアルアイレで弾いているか、爪で弾いているかのような形でした。しかし、正確なことは、もっと至近距離で見るか、本人に聞いてみないと分かりません。
演奏終了後、私は会場でラッセルのCD「Music of Barrios」を買って、彼にCDにサインしてもらうため、並びました。私の前の人がラッセルに「指の爪を見せて下さい」と頼んだところ、彼は快く見せてくれました。私も後ろから覗き込んで見ましたが、彼の爪は比較的長く伸ばされていて、やや丸みがあって、ちょっと厚いように見えました。
いずれにしても、彼のこの爪と特徴のある右手・指の使い方から、あの透明度の高い、美しい音が生まれることは確かです。ただ、その具体的な因果関係は私にはまだ分かりません。
<E.グラナドス作曲「スペイン舞曲第10番」 ~デイヴィッド・ラッセル演奏>
下の写真はCDにサインをしてもらった後、ラッセルと握手をするところですが、デジカメを持って行くのを忘れて、携帯のカメラで撮ったため、ブレまくって、ラッセルさんの顔も私の顔もよく分かりません。
<CDにサインしてもらった後、D.ラッセルと握手をするところ>
帰りの電車の中でも、感動の興奮はさめやらず、蓼科から東京まで出掛けて行って、聴いた甲斐がありました。
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